とある町のりんごの話

りんごは青森の弘前あたりが有名ですが、阿武隈山麓の”りんご”だって捨てたもんじゃ～ありません。

大手スーパーではあまりみかけませんが… 収穫量が少ないからなんでしょうか。

かれこれ5年ほど前の話になるんでしょうか … 東北のとある町に来たばかりの頃だったと思います。りんご畑の脇で現場立ち合いをしていたおいらに、よろよろと田舎の御爺さんが近寄ってきて話を始めたんです。「兄さん横浜かは～」「はい」「若い頃にりんご仲間がそろって、トラックにりんごを積んでな～横浜に行ったことがあったけかは～」「たしか金沢区だったか」… 「大きな市場で、りんごを見てもらったんだは～」…　表情がなにげに寂しそうになり… 「味は良いっていわれたんだけれども、色が悪いって」… 「商売にならなくって戻ってきたんだは～、昔の話よ～」…

5月下旬か6月の頭頃だったかもしれません、おいらがりんごの花のことを聞いたら、このあいだ終わったばかりだと言っておりましたから…

その年の11月をちとすぎた頃に、この町のりんごを初めて口にいたしました。「ガビ～ん…」蜜の入ったふじでした、歯ごたえといい甘さといい申し分がありませんでした。いままでのりんごはいったいなんだったんでしょうか..と思いました。親戚や仲間に送ったところ大変好評だったことを覚えております。ただ… 肌の色がたしかに良くないもんで、損なりんごだと思います。「ボロは着てても心は錦、どんなりんごより美味いんです♪」それが阿武隈山麓のりんごなんです。

語ってしまいました… 700文字分も。