男はつらいよ お帰り寅さん

寅さんが帰ってきたんで、横浜上大岡へ会いに行ってまいりました。

寅さんシリーズの好きなところはその時々の日本各地の風景を見られることと時代背景までも垣間見ることが出来ること。ひとつひとつのセリフに優しさと味のあるところも好きなんです。何回観ても飽きがこないもんで、場面場面のセリフなんかを覚えてしまったりなんかしております。

横浜は上大岡のTOHOシネマズで観ることにして、病院を済ませて12時20分の上映に間に合うように時間調整をしたつもりでおりましたが、思っていたより時間が押してしまって。昼からは快晴になるとふんでいた空からは冷たい雨なんかも…

京急上大岡駅で電車を降りたのが12時ちょうどで、映画館へ直行することに… 駅周辺は師走のためか人通りも多く、門松を商うテントなどもでておりました。

門松は一対500円から、商いの様子などをちらと見て歩行者で込み合う横断歩道を渡り鎌倉街道の歩道に沿って左へ歩けば”ミオカ”のビルディングにたどり着きます、TOHOシネマズは”ミオカ”の中にあるはずです。

「映画館は３Fですか～」…　「チケットの割引購入ができるから、免許を見せて61才だと言ってチケットを買いなさい」…とカ～ちゃんが言っておりました。券売機へは行かずに直接アルバイトらしきお姉～さんの元へ… 「60才以上の割引があるんでしょうか？」… 「はい、200円の割引ですので1200円になります」…

病院で採血があったもんで、朝から水以外は口にはしておりませんでした。腹が減って、腹が減って… やもたてもたまらずに売店に並び、アイスコーヒーとサンドウィッチを買ってG６のお席へ

「Gの６はと」… 床にGが表記されております、端から1,2,3…G５には婆様が、G７にも婆様でした… 「両手に花だぜ、ついているじゃねいかい」… 爺と爺に挟まれるよりはちとましでしょう。婆５、爺６、婆７なんて感じでした… 館内は暖房が効いていてちと暑いくらいで、リュックを背負いサンドウィッチとコーヒーのトレイをもっていたもんで上着を脱ぐこともままならず、リュックを前の椅子にちょいと置かせてもらって、一旦トレイを足元の床に置いて上着を脱いで膝の上に、床においたトレイからサンドウィッチとコーヒーを取り出してムシャリムシャリと…

食べることに夢中になりすぎて… リュックのことはすっかり忘れておりました。そこに現れましたのが爺婆のアベック… Fの列でなにやらモソモソやっております。「うるせ～な」と心の中で… しばらくしてリュックのことを思い出したおいらは、手を伸ばしてリュックを手元へ引き寄せました。間髪をいれずに、爺婆の爺が「てやんでい、公共の場で席を独り占めするんじゃねいやい」… 「どうもすみませんでした、リュックを置いたことすら忘れておりまして」…「いったい何を考えていやがるんで～」… 上着を脱ぐために一時的に置いたつもりが、コーヒーとサンドウィッチに夢中になりすぎてリュックを置いたことすら失念しておりました。爺に叱られなければそのままF6席にリュックを置いたまま帰っていたことも予想されます。それにしてもF6爺先輩のセリフが結構いけていたことに感動いたしました… 横浜弁の切れのいいこと、歯切れのいいこと。

TOHOシネマズの館内には多くの老若男女がおりましたが、男はつらいよお帰り寅さんのスクリーン２には老✖男女しかおりませんでした… その中で若手のおいらは、なんとも言い難い気持になりました「おいらもついにこの世界の仲間入りかい」… 映画の感想なんですが、過去の寅さんシリーズとは異質な感じが… 世の中が大きく変わってしまったために、高度経済成長期を経験した世代や寅さんをその時代に楽しんでいた方々にはうけるでしょうが、今の若者には理解し難い映画じゃないかと…

うれしかったことが一つありまして、おいらが地元の横須賀荒崎がロケ地として使われていたことです。後藤久美子が演じるところの泉の父親が余生を送る荒崎の老人ケア施設として横須賀サニーヒル（おいらのカ～ちゃんがその昔、看護師として働いておりました）が使われているとともに、泉の母親（夏木マリ）が泣き崩れるシーンではおいらが行き来する畑道なども。　いつか寅さんがやってくると期待はしておりましたが、こんなところで使われるとは、ご縁を感じたしだいです。

面白い作品でした、入りは桑田佳祐の歌から始まりセリフまでも…、もうちと味があるんじゃないかと期待しておりましたが、今一つ残念でした。エンディングで渥美清の歌とセリフを聴くことができて救われましたが。大きな画面でこれまでの作品の名場面の数々を観ることができたことはよかったと思います。爺６の頬にも涙が流れましたが、婆７はラストシーンに嗚咽しておりました。この映画とともに生きてきた人生を思い出しての涙なんでしょうか… おいらは優しい気持になって映画館を後にしました。「そうだ、寅の足跡を訪ねて、この休み中に荒崎のロケ地をタマモで回ってみよう」…

そうでした 15時から横須賀中央の酒場で群馬先輩との打ち合わせがあるんです、急がねばなりません…

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